「指示待ちしない」は当たり前?欧米人との働き方のギャップをチームの強みに

Written by
Story Agency編集部
Published on
September 2, 2025

日本と欧米では、働き方に大きな違いがあります。文化や価値観の違いが仕事の進め方やコミュニケーションに表れ、その差がときに誤解や摩擦を生むこともあります。お互いの特徴を理解することは、協働や成果の向上につながる大切な一歩です。本コラムでは、日本と欧米の働き方の違いを整理しながら、それをチームの強みに変えるためのヒントをご紹介します。

欧米人の働き方の特徴

日本と欧米の働き方には、文化や価値観の違いが色濃く反映されています。たとえば欧米では「自己主張」や「意見表明」が重視され、会議やディスカッションでは積極的に自分の考えを述べることが期待されます。これは、個人の意見こそが組織全体の成長につながると考えられているからです。一方、日本では「空気を読む」「和を大切にする」といった文化が根強く、意見の対立を避ける傾向があります。そのため、欧米人が率直に意見を伝える姿勢は、日本人にとっては時に「強引」と映ることもありますが、そこに悪意はなく、あくまで文化の違いに基づくものです。

さらに、評価の基準にも違いがあります。欧米では「成果主義」が一般的で、働く時間よりも結果そのものが重視されます。近年、日本でも「長時間働くことが美徳」という価値観は薄れつつありますが、それでも「努力の過程」や「協調性」を大切にする文化は根強く残っています。これは、日本社会が長く集団としての調和を重んじ、その中で人とのつながりや信頼関係を育んできたことに由来します。

日本人の労働生産性は本当に低いのか?

公益財団法人 日本生産性本部の「労働生産性の国際比較2024」によると、2023年の日本の就業1時間あたりの労働生産性は 56.8ドル(約5,379円) でした。OECD加盟38カ国中29位と下位に位置しており、ポーランド(57.5ドル)やエストニア(56.5ドル)とほぼ同水準です。一方、1時間当たりの労働生産性が最も高かったのは、アイルランドで154.9ドル、ノルウェー136.7ドル、ルクセンブルク128.8ドルと、欧米の主要国では日本の約2〜3倍の生産性を誇っています。

出所:(公財)日本生産性本部

このデータから、日本では「努力や長時間勤務こそ成果につながる」という意識がまだ強く残っていることがうかがえます。一方で、欧米では効率的に成果を出すことが重視され、働く時間を短くしても成果を最大化する文化が根付いています。欧米の企業では、働く時間を柔軟に調整しながら成果を上げることが一般的です。また、欧米では休暇取得も制度として推奨されており、従業員のリフレッシュや創造性の向上にもつながっています。一方、日本では残業や長時間勤務が美徳とされる文化がいまだ根強く残っています。しかし、OECDのデータが示すように、長時間働いても1時間あたりの生産性は欧米諸国に比べて低く、日本企業でも「時間の使い方」を見直す余地が大きいことがわかります。こうした違いを理解することは、特に欧米人インターンや社員を受け入れる企業にとって非常に重要です。働き方や時間に対する価値観の違いを認識し、効率的な業務設計や明確なコミュニケーションを取り入れることで、チーム全体の生産性や働きやすさを向上させることができます。もちろん、日本人も欧米人も、ここで紹介した傾向がすべてに当てはまるわけではありません。それぞれの個性や状況によって、働き方や価値観には多様な違いがあるのです。

日本企業と欧米企業のギャップ

日本企業と欧米企業の働き方には、いくつかの顕著な違いがあります。

  1. 意思決定のスピード
    日本では合意形成に時間をかける傾向があり、全員の意見を尊重する文化があります。しかし、欧米では迅速な意思決定が求められ、まずはやってみて決めるという姿勢や上司の一存で決まることも少なくありません。

  2. コミュニケーションのスタイル
    日本では間接的な表現や暗黙の了解が多く、相手の気持ちを察することが重視されます。一方、欧米では直接的なコミュニケーションが好まれ、意見をはっきりと述べることが一般的です。この違いが誤解や摩擦を生む原因となることがあります。

  3. 評価基準の違い
    日本では成果に加えて、その過程や努力の姿勢も大切に評価される傾向があります。一方、欧米ではよりシンプルに結果や成果そのものを重視する傾向があります。このため、同じ仕事をしていても、評価の仕方にギャップを感じることがあるかもしれません。

文化の違いが生んだ事例

欧米人インターンや社員が日本企業で働く際には、文化の違いから課題やトラブルが生じることがあります。たとえば、弊社が紹介した欧米人インターンは、日本の企業で働く中で「上司からのフィードバックが少なく、自己成長の機会が限られている」と感じていました。彼は定期的なフィードバックや評価を求めていましたが、日本の上司は「言わなくても伝わっているだろう」と考えていたため、そこに大きなコミュニケーションギャップが生まれていたのです。
また、別の企業では、上司が欧米人社員に対して「もっと積極的に意見を言ってほしい」と期待していた一方で、本人は「日本人は直接的な意見を好まないのではないか」と逆に不安を抱き、意見を控えてしまっていました。このように、期待と実際の行動がすれ違うことで、誤解やストレスにつながることがあります。

こうした課題の多くは、文化の違いによる認識のズレが原因です。しかし、一般的に言われる価値観だけにとらわれず、互いの背景を理解し合い、オープンなコミュニケーションを心がけることで、多くの場合解決へとつなげることができます。

ギャップを埋めるための方法

欧米人との働き方のギャップを埋めるためには、以下の方法が効果的です。

  1. 文化理解の促進
    お互いの文化や価値観を理解することが第一歩です。定期的な文化交流の場を設けたり、研修を実施することで、相手の考え方や行動の背景を知ることができます。定期的に、実際の業務に直結するケーススタディやロールプレイを入れると効果が高まります。

  2. コミュニケーションの改善
    伝わりやすく明確なコミュニケーションを心がけましょう。期待することやフィードバックをあらかじめ具体的に話し合うことで、誤解を減らすことができます。フィードバックの頻度を決めてしまう(例:週1回1on1)など、仕組みに落とし込むと実効性が高まります。

  3. 評価基準の共有
    成果主義とプロセス重視の違いを理解した上で、共通の評価基準を設定することが重要です。お互いの期待を明確にし、評価の透明性を高めることで、信頼関係を築くことにも繋がります。

  4. 柔軟な働き方の導入
    フレックスタイム制度やリモートワークなど、柔軟な働き方を導入することで、欧米人社員の働きやすさを向上させることができます。いきなり体制を大きく変えるのが難しい場合は、一部のチームで試験的に導入し、段階的に広げていく方法がおすすめです。小さな改善を積み重ねることで、効率や満足度の向上につなげることができます。

これらの工夫を実践していくことで、働き方の違いによる誤解を減らし、相互理解を深めるきっかけになります。

ギャップを理解してチームの強みにしよう!

欧米人との働き方のギャップを理解し、コミュニケーションや評価、働き方に関する誤解や摩擦を減らすことは、グローバル化が進む現代の企業にとって大切なポイントです。文化や価値観の違いを尊重しながら、日々のコミュニケーションや評価の方法を工夫することで、チームの生産性や社員の満足度を高めることが期待できます。特に、外国人インターンシップを導入する企業では、欧米人社員やインターンが働きやすい環境づくりが不可欠です。Story Agencyでは、外国人インターンシップの導入からサポートまで一貫して支援しており、企業の海外対応力の強化を後押ししています。これから外国人のインターンシップや採用を強化したい企業様は、ぜひお気軽にご相談ください。

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