
「普通に注意したつもりだったのに、なぜか距離を感じるようになった」
「特に問題がなかったので何も言わなかったら、評価が低いと思われていた」
これは、欧米出身のインターンや社員を受け入れた企業から、実際によく聞かれる声です。このようなすれ違いは、語学力や個人の性格の問題ではありません。その多くは、日本人と欧米人の「フィードバック」に対する考え方の違いから生まれています。
本コラムでは、「欧米人と日本人の違い」という大きなテーマの中でも、特に企業現場でトラブルになりやすいフィードバック(評価・指摘・注意)の捉え方に焦点を当て、なぜ誤解が起きるのか、どうすれば防げるのかを深掘りしていきます。これから欧米人材や外国人インターンを受け入れる予定の方、すでに文化的なギャップを感じている方にとって、実務に役立つヒントになれば幸いです。
フィードバックは、単なる業務連絡ではありません。評価、信頼、期待、関係性といった要素が強く結びつくため、文化の違いが最も顕在化しやすいコミュニケーションの一つです。
特に外国人インターンや欧米出身のメンバーに対しては、
といった点で、日本人の「当たり前」が通用しない場面が多く見られます。その結果、
「伝えたつもり」なのに伝わっていない
「配慮したつもり」なのに不信感を持たれる
といったすれ違いが起きやすくなるのです。
直接言わない=配慮・信頼のサイン
日本の職場では、フィードバックは必ずしも言葉で明確に伝えられるものではありません。
むしろ、
といった姿勢が「大人の対応」「相手への配慮」として評価される場面も多くあります。特に、まだ関係性が浅い相手に対しては、強い言い方や直接的な指摘を避ける傾向があります。これは「相手を尊重している」「信頼関係を壊したくない」という意識の表れでもあります。
マイナス評価は間接的に伝える文化
日本では、改善点や問題点を伝える際も、
といった方法がよく使われます。そのため日本人にとっては、
「特に何も言われていない=大きな問題はない」
「細かく指摘されない=信頼されている」
と受け取ることが自然なのです。
フィードバックは「成長のための情報」
一方、欧米のビジネス文化では、フィードバックはポジティブな意味を持ちます。それは「評価」や「注意」以前に、成長のために必要な情報共有だからです。
という考え方が根付いています。
何も言われないことが最も不安
欧米出身のメンバーにとって、最も不安なのは「フィードバックがない状態」です。
これらが言葉で示されないと、「評価されていないのではないか」「関心を持たれていないのではないか」と感じやすくなります。
日本側が「問題ないから何も言っていない」つもりでも、欧米側は「何も言われない=マイナス評価」と受け取ってしまうことがあるのです。
「察してほしい」日本側 × 「言われていない」欧米側
日本人:「ここは自分で気づいて改善してくれるだろう」
欧米人:「特に問題ないと思われている」
このズレは非常によく起こります。
「やんわり注意」×「結局何が問題?」
日本人:「遠回しに伝えたから分かっているはず」
欧米人:「何を直せばいいのか分からない」
抽象的な表現や曖昧な指摘は、意図が伝わらないまま終わってしまうことも少なくありません。
「沈黙=信頼」×「沈黙=無関心」
日本人:「細かく言わないのは任せている証拠」
欧米人:「何も言われない=期待されていない」
このように、同じ行動が真逆の意味で解釈される点が、フィードバックを難しくしています。
文化人類学では、日本は「高コンテクスト文化」、欧米は「低コンテクスト文化」と分類されます。
この違いは、フィードバックの量・タイミング・具体性すべてに影響します。
日本では「言わなくても伝わる」前提があり、欧米では「言わなければ存在しない」前提がある。ここを理解しないまま一緒に働くと、誤解が生じるのは自然なことです。
1. 期待値と評価基準を最初に言語化する
「何ができていれば良いのか」「何を重視するのか」を最初に共有するだけで、誤解は大きく減ります。
2. ポジティブと改善点をセットで伝える
良い点+具体的な改善点をセットで伝えることで、否定ではなく成長のためのフィードバックになります。
3. 文化の違いであることを事前に伝える
文化の違いがあることを共有することで、相手の受け取り方は大きく変わります。
欧米人材を受け入れる際に重要なのは、「日本式をそのまま当てはめない」ことです。Story Agencyでは、企業とインターン双方に対し、就業体験のマッチングだけではなく、事前オリエンテーションや就業中のフォローを通じて、こうした文化的なギャップを埋める支援を行っています。単に人手を補うのではなく、文化理解を前提とした就業体験を設計することで、フィードバックも前向きな成長の機会に変わります。
違いを理解し、前提として共有することで、
といったプラスの効果が生まれます。こうした小さな工夫の積み重ねが、外国人インターンの受け入れを「難しい挑戦」から「企業の成長につながる経験」へと変えて行くことが可能です。