
2025年は、多くの日本企業にとって、外国人インターンや欧米出身の学生を受け入れる動きが一段と広がった一年でした。「グローバルな視点を取り入れたい」「海外人材との接点を持ちたい」といった目的から、短期間の就業体験を導入する企業も増えています。
一方で、導入が進むにつれて、現場からはさまざまな声が聞こえてくるようになりました。
「想像以上に良い刺激になった」「社員の意識が変わった」という前向きな声がある一方で、「最初は戸惑った」という声も少なくありません。
Story Agencyが、多くの現場に関わる中で、はっきりと感じたことがあります。それは、受け入れがうまくいくかどうかを分けていたのは、制度設計の完成度が大きな要因ではなかったということです。
現場を振り返ると、スムーズに進んだ企業には共通点がありました。それは、「なぜ外国人インターンを受け入れるのか」「どんな体験をしてもらうのか」が、受け入れ前から社内で整理・共有されていたことです。
反対に、つまずきが起きやすかったケースでは、
● 企業にとっての就業体験の目的がはっきりしていない
● 業務の一部を手伝ってもらえればいいという考え
● 担当者に任せれば現場で何とかなるだろう
といった、前提が曖昧なままスタートしていることが多く見られました。
就業体験は、採用でも派遣でもありません。「学び」と「体験」を軸にしたプログラムであることを、企業側がどこまで理解し、言語化できているか。
この認識の差が、受け入れ後のすれ違いを大きく左右していました。
「期待値」が人によってバラバラになる
目的が整理されていないまま受け入れると、「即戦力として動いてほしい人」と「学びを重視して見守ろうとする人」が、同じ現場に混在します。その結果、インターン本人は「自分は何を求められているのか分からない」状態に陥りがちです。
フィードバックや評価が難しくなる
体験のゴールが定まっていないため、何を基準にフィードバックすればよいのか分からず、「特に問題がなければ何も言わない」状態が続いてしまいます。これが、後から文化的な誤解として表面化することも少なくありません。
「文化の違い」が過度に問題視される
本来は前提整理で防げたはずのズレが、「外国人だから」「文化が違うから」という説明に置き換えられてしまうこともあります。しかし実際には、文化の違い以前に目的の共有がされていない、期待値の違いが要因であるケースが多いのが現実です。
目的を「採用」や「労働力」から切り離して考えていた
うまくいった企業ほど、就業体験を「将来の採用候補を見極める場」や「人手不足の補填」としてではなく、まずは相互理解と学びの機会として位置づけていました。
インターンに「何を体験してほしいか」を具体化していた
業務内容だけでなく、
● 日本の職場で何を感じてほしいのか
● どんな視点を持ち帰ってほしいのか
といった体験の質まで言語化している企業ほど、現場の納得感が高くなります。
社内で「就業体験の前提」を共有していた
現場任せにせず、「今回は就業体験である」という前提を、社員同士で共有していました。
この一言があるだけで、指導やコミュニケーションのスタンスが大きく変わります。
前提が整理されている企業では、文化的な違いが問題として表面化することは少なくなります。多少のすれ違いが起きても、「就業体験だから」「違いを知るプロセスだから」と受け止められるからです。
結果として、
● 社員が自然と説明や言語化を意識するようになる
● 異なる視点に対して余裕を持って向き合える
● チーム内に新しい会話が生まれる
といった、組織側の変化が起きていくことがあります。
外国人インターンの受け入れは、インターン本人だけの成長機会ではありません。社員にとっても、自分たちの働き方や価値観を見直すきっかけになります。
「なぜこれが当たり前だと思っていたのか」
「自分たちの仕事は、外からどう見えるのか」
こうした問いが生まれることで、組織の視野は確実に広がっていきます。
2025年も、多くの企業と学生が、就業体験を通じて新しい気づきを得てきました。Story Agencyはこれからも、現場に寄り添いながら、企業と人材のより良い出会いを支援していきます。
2026年も、就業体験が企業の力になる一年となるよう、ともに歩んでいければ幸いです。